遠藤が負ける理由

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日本人力士のホープとして大相撲界で一、二を争う人気の遠藤。
しかし大きく期待されている一方、2015年一月場所までの入幕以降8場所での幕内成績は、60勝59敗1休と全くのイーブン。なかなか優勝争いに関わってくる機会も少ないのが事実である。


  • 相撲の懸賞システムと、人気力士であるが故のジレンマ
f:id:ch1sh1k1:20150129235952j:plain※懸賞垂れ幕

幕内以上の人気の取組には、企業からの広告として懸賞が付くことがある。
懸賞は垂れ幕1つにつき6万2000円(場内アナウンスが付き)であり、日本相撲協会の事務費として5300円が引かれ、取組の「勝ち力士」には内5万6700円が渡る。一方、負け力士は懸賞を「一銭も」もらうことが出来ない。

懸賞は取組に付くものではあるものの、人気の力士の取組となれば取組自体の注目度も集まり懸賞が多くつく。勝ち力士が総取りであるため、遠藤をはじめとした人気力士と当たった相手からすれば(常に勝ちに全力であるとは言え)勝つモチベーションをさらに上げるべき取組となってしまうのである。

遠藤の取組には平均すると、平幕力士(前頭)としては異例の8〜10ほどの懸賞がつく。そのため、遠藤は勿論、相手もまた遠藤との取組に一勝するだけで50万円近く手にすることが出来ることなる。

特に、場所も後半にさしかかった中で人気力士の成績が良いと、取組1つ1つが優勝争いに関わってくるために更に取組の注目度が上がり、多くの懸賞がつく。前半調子が良くても、より闘志を燃やした相手と戦わなければならず、やりにくい上に出鼻をくじかれる可能性のジレンマを抱えるのである……。


DJ恐竜